日本の物流や、各種工事等の要となっているトラックでも近年価格の上昇が続いています。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、一体いくらぐらい値上がりしているのでしょうか?
名岐トラックオートの30年以上あるデータから分析してみましょう。
目次
新車トラック各メーカーの価格差
国内のトラックメーカーは、それぞれ独自の特性と強みを持っており、多様なニーズに応える製品ラインナップを展開しています。それぞれメーカーは、「燃費の良さ」「耐久性」「積載能力」「運転のしやすさ」など、異なる推しポイントを持っています。これらの特徴は価格にも大きく影響しており、同じクラスのトラックであってもメーカーによって価格差があります。
例えば、あるメーカーは最新の環境技術を導入することで燃費効率を高め、初期コストは高いものの、長期的なランニングコストを抑える設計を採用しています。一方で、別のメーカーは堅牢な車体と高い耐久性を前面に打ち出し、長距離や過酷な条件下での運用に適したトラックを提供しており、その分、価格が高めに設定されていることもあります。
国内のトラックメーカーは、それぞれのブランドが持つ特性や顧客のニーズを踏まえた価格設定を行っていることがわかります。
車両価格をランキングにしてみると下記のようになります。
- 1位 日野自動車
- 2位 三菱ふそう
- 3位 いすゞ自動車
- 4位 UDトラックス
- 5位 その他
小型から大型まで様々な車種がありますがおおよそこのようなイメージです。
小型などは若干ランキングが変動はしますし、モデルチェンジのタイミング等でも当然変わってきます。
トラック価格の推移
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新車の価格はここ10年で驚くほどに上がりました。
例として中型ウイング車の推移は上記をご覧ください。昔と比べて倍近くまで上昇しているのがわかります。
中古トラックの価格はどうなのか?
中古トラックも近年相当な価格上昇をしています。トラックに限らず様々なもので需要と供給のバランスが崩れた時に価格は変わりますよね。直近ではコロナウイルスの影響により新車トラックが供給不可になったことが大きく影響しています。
新車トラックが手に入らないから中古トラックを買う、当然の流れです。そのため現在でも中古トラック市場は高価格を推移しています。新車トラックの生産がいまだ不安定なことを考えると、まだまだ中古トラックの価格は高いままだと予測します。
上記したように一定期間新車トラックの供給がなかった為、数年後に出てくるはずの中古トラックの絶対数も減っています。トラックを使用して稼ぐ皆様は頭が痛い問題がこの先も続いていきそうです。
トラックの減価償却
減価償却とは、一定以上の高額なものを購入したときに、その費用を何年かに分けて経費にしていくことをいいます。
つまり「お金が出ていった時点で、そのお金のすべてを費用とするのではなく、使う年数に応じて少しずつ費用にしていこう」というのが、減価償却の考え方です。
減価償却の対象となる固定資産を「減価償却資産」といい、減価償却の計算をしてその年分の経費とする部分を「減価償却費」といいます。企業がトラックを購入する際、そのトラックは会計上の資産として扱われます。
これは、トラックが企業の業務遂行に直接貢献する長期的な利益をもたらすからです。
したがって、トラックの購入コストは、ただの経費ではなく、数年間にわたって利益を生み出す資本的な投資と見なされます。そのため減価償却をすることができます。減価償却は期間が定められているので以下に一覧を表示します。
- [減価償却例]
1000万円だった場合
程度が良好なものはその品質を反映して価格も比較的高めに設定されます。
この高価格には、トラックの性能が良く、信頼性が高いこと、そしてメンテナンスの状態が良好であることなどが評価されています。企業がこのような中古トラックを購入する場合、購入価格はそのトラックの減価償却の基礎となります。
購入したトラックの価格が高ければ、償却費も大きくなるため、毎期の利益計算において大きな経費として計上されます。
- 購入かリースか?
トラックを購入する際は減価償却が必要になりますが、一方でリースはどうでしょうか?
リースとは長期的にトラックを借りる契約です。
リース期間後のトラックの価値を据え置いてリース料を算出するやり方が多いかと思います。
一般的には車両価格の1割を残価として設定し、残りの9割を5年間リースする契約がよくみられます。
[例]
車両価格1000万ー1割(100万)=900万
900万÷60(5年)=15万 リース料15万円
上記の例の計算はリース会社の利益(金利的なもの)が入っていないので正確ではありませんがざっくりイメージするには十分でしょう。残価を据え置いている分償却費よりもコストが若干下がっています。
どちらがいいのかは一概には言えませんが皆さんの今後の計画を聞かせていただければ一緒に考えてご提案させていただきます。
トラック値上がりの背景
トラックの値上がりの背景には、コロナウイルスの影響と世界情勢の変動が大きく関わっています。
まず、新型コロナウイルスのパンデミックは、トラック製造に必要な部品供給に深刻な遅延をもたらしました。
特に、半導体チップの不足は自動車産業全体に影響を及ぼし、トラックを含む多くの車両の生産スケジュールに大幅な遅れが生じました。これは、工場の一時閉鎖や生産ラインの停止が原因で、需要に対する供給が追い付かなくなった結果です。
次に、世界情勢の不安定さ、特に地政学的な緊張が高まっている地域では、エネルギー価格と原材料コストが急騰しています。
例えば、鉄鋼やアルミニウム、プラスチックなどの原材料価格は、国際的な貿易摩擦や制裁の影響で上昇しました。これらの材料はトラック製造において不可欠であり、コスト増加は直接的に製造コストの増加につながり、消費者価格の上昇に繋がっています。
トラックの値上がりは、物流業界におけるコスト増加の一因となっていますが、これは物流業界の大きな課題、『2024年問題』へと繋がる重要な話題です。2024年、多くのベテランドライバーが退職年齢に達し、若手のドライバー不足が顕著になると予測されています。
労働力の低下は、配送の遅延や運搬コストの増加を引き起こすことが懸念されており、トラックの価格上昇はこれをさらに悪化させる要因となります。高価なトラックを購入・運用するコストが増えれば増えるほど、物流企業はその負担をどこかで吸収しなければならず、最終的には消費者への輸送コスト増として影響が出る可能性があります。トラックの技術革新が進む一方で、資金を新しいトラックや技術に投じる余裕がなくなると、業界全体の効率化や競争力の維持が困難になります。
トラックの価格上昇と2024年の物流問題は、物流業界の未来を左右するほどの影響を持っています。
先ほども説明したように、トラックの買い控え・値上がりの大きな原因とされているのが、コロナウイルスの影響と世界情勢の変動でしたが、追い打ちをかけるように問題となっているのが『物流の2024年問題』です。
次に『物流の2024年問題』について詳しく解説していきます。
2024年問題とは
物流・運送業界の「2024年問題」とは、働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる社会問題の総称のことです。具体的には、ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限され、一人当たりの走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなると懸念されています。
さらに、物流・運送業界の売上減少、トラックドライバーの収入の減少なども考えられると言われています。日夜、モノの移動で生活を支える物流・運送業界は業務の特性上、長時間労働が常態化しやすい業種でした。
長時間労働の背景には、ドライバーの若手不足や高齢化、またEC(電子商取引)の成長による需要の増加などが挙げられます。
このような実態を改善すべく、働き方改革関連法に基づき、時間外労働時間の制限が定められました。
物流・運送業者が受ける2024年問題の主な影響は次のとおりです。
- 労働時間の減少から運べる物量が減る
- 人件費増加による利益や売上の減少
- 残業代削減が起因の収入減によるドライバー不足
ドライバーの労働時間が制限されることにより、積載量が減る可能性があります。
また、十分な休息時間を設ける必要があるため、積載量に対して人員を確保できなくなり、引き受けられない荷物が増えてしまいます。今と変わらない十分な積載量を請け負いたい場合、人員の拡充など別の対策が求められます。
労働時間の減少を人員拡充で補う場合、採用コストや教育コストがかかります。
社員数が増えるため、社会保険料などの労務コストも増加し、人件費率の上昇は避けられません。
また、2023年4月からは中小企業でも月60時間を超える時間外労働に対して50%以上の割増賃金の支払いが求められるようになるため、残業代の支払いも増加します。
業務効率化など抜本的な改革をしなければ、コスト負担が重くなる恐れがあります。
人件費の上昇や引き受ける荷物の減少により自社収益が悪化した場合、給与に影響が出る恐れがあります。
また、時間外労働を減らして2024年問題に対応したことにより、ドライバーが受け取る残業代が減って生活レベルが維持できないなど、影響が考えられます。
2024年問題だけでなく、世界情勢も影響し、トラックの価格上昇は避けられない現実となっています。
特に大型トラックの価格は、地方の土地付き住宅を購入できるほど高額であり、これは単なる物流の道具ではなく、重要な資産と言えます。このような状況では、資産としてのトラックの運用方法が重要になります。
トラック1台にかかる投資は大きいですが、日々の運用で確実に収益を上げ、価値が最も高い時点で売却する戦略は、安定した資産運用を実現します。そのため、中古トラックの売却を含む将来の計画策定が非常に重要です。
名岐トラックオートでは、トラックの売買だけでなく、トラックの資産運用についても詳しくご説明させていただきます。
お客様のご要望を聞き、それに合ったご提案をさせていただきます。トラックのことなら何でもご相談ください。